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代表 木村黒バック写真 コラム「組織の成長加速法」-第171回 賃金を上げた!だけど、売上が上がらない・・・

以前、販売社の社長からご相談を受けた時のことです。

お話を聞いている中で、こんなことをおしゃっていました。「昨年ベースアップをしたのですよ。士気が上がった(ように感じた)のは2か月間くらいで、3カ月目には全く元に戻りました。売上げも横ばいで。」と肩を落とされたのです。

コロナの影響はむしろ追い風といわれた業界でしたが、売上げはほぼ横ばい。社長は忸怩たる思いを抱えて、いらっしゃいました。

 


 


かつてこの国が経験したことのない、人口減少の社会変化のまっただ中に私達はいます。つまり、人不足が深刻化はまだ始まったばかり。

「経営とは何か?」を言い表す言葉として、「ヒト・モノ・カネ」があります。ここから「ヒト」が消えとしたら、経営は成り立ちません。

「賃金」を上げるのは、今後継続的に起こることです。人口減少が深刻化すればするほど、ずっと上がり続けるはずです。今回の「賃上」は一度で終わらず、継続していかなければならないのです。

では、「賃上げ」を継続的に実現するために必用なことは何かを考えますと2つあります。

  • 社員一人当たりの営業利益額が向上し続けること
  • 社員一人当たりの経常利益額が向上し続けること

この2つが実現できれば、「賃上げ」をバンバンやるべきです。さすれば、より良い人材が集まり、好循環になります。

今回は1について確認していきます。

  • を実現する方法は2つしかありません。売上を上げるか?経費を削るか?です。

しかし、経費の大きな部分を占める人件費、仕入れ原価は上昇傾向です。となると、売上げを上げることが選択肢となります。商品サービスの値上げを実現できない会社の未来はなくなります。

 


 

ここ数年、ご支援先の企業でも「値上」の場面に遭遇して、「値上」がうまくいくケース、「値上」を断られるケースを見てきました。

どの業界であっても、共通しているのは、「顧客満足度」が高いお客様は、すんなりと受け入れる。「顧客満足度」が低いお客様は、激しく抵抗する。もしくは、これをきっかけに、離脱していきます。

そして、この「顧客満足度」を見ていくと、担当社員の力量に負うところが多くあります。更にこれを細かく見ていくと、仕事の難易度の問題ではないということです。

「顧客満足度」の2つあります。一つめの鍵は、「早さ」だったのです。

経験値が低い社員であっても、「顧客満足度」が高い社員がいました。経験値が低いと先輩社員の様に、知識が豊富ではないので、自分自身で解決できる量は当然低いのです。ところが、これが「顧客満足度」を下げることに繋がっていないのです。ところが、時間が掛かることも含めて「早く」連絡することで、お客様は安心するし、感動する人さえもいました。解決されなくても満足されるのです。

もう一つの鍵は「頻度」でした。

「今、こういう状態です。」という連絡を適宜入れることです。これでお客様はまた安心するし、担当者に対する評価は爆上がりするのです。お客様の満足度も当然上がります。

「早さ」と「頻度」を支えるのは、社員の能力の差ではありません。仕事に対する姿勢の差です。

この結果、若い社員であっても、「顧客満足度」を勝ち取っている社員は、値上げもすんなり進み、一人当たりの営業利益は、グングン上がるのです。

 


 

「社員の生産性を上げる」と聞いた時に、多くの人は仕組みの向上に目を向けます。もちろん、正解です。人力の限界を機械が補うことができれば、当然生産性が上がっていきます。

ですが、5分だけ、時間をとって考えていただきたいのです。人力の限界を機械が補うことは、これまでもやってきたことです。より少ない時間で、最大の成果を手にするために、様々な仕組みに投資してきました。

その投資によって十分な成果を手にしたでしょうか?

何が足りなかったのか?

 


 

今回の販売会社に社長だけではなく、他の経営者の方々とお話をして共通するのは、仕組みの投資が生み出すはずだった利益が実現できてないことに対する落胆です。

先ほど、顧客満足の鍵として、「早さ」と「頻度」をお伝えしました。これは社員の能力ではなく、仕事に対する姿勢の領域の話しと言いました。仕組みで大きく欠落するのが、この仕事に対する姿勢の部分です。

社員の生産性は、仕組みで改善することができますが、仕組みだけでは改善しません。それは、社員の仕事に対する姿勢が変わらなければ、仕組みが生み出すはずの利益は改善できないのです。

実際に、この点を改善できれば、当にここが段違いの売上げ変化を創り出して事例は枚挙に飛びません。じわじわと売上げが上がるのではなく、段違いに売上げが上がる。それは、この「仕組み」を補う「仕事に対する姿勢」が重要な要素なのです。