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代表 木村黒バック写真 コラム「組織の成長加速法」-第200回 仕事を抱えるリーダーこそが組織を破壊する!?

組織運営において、古くて新しい問題。それが「部下に指示を出せず、仕事を抱え込んでしまうリーダー」の存在です。この問題は初心者リーダーが直面する典型的な課題と思われがちですが、実際にはそれだけではありません。これまで1,000名以上のリーダーと話をしてきた中で、この問題がリーダー歴が長い人々にも共通して起こりうることが明らかになりました。

リーダー歴3年以上の中堅リーダーやリーダー歴10年以上のベテランリーダーでさえ、「仕事を振る」ことに苦手意識を持つケースが多々あります。リーダーが仕事を抱え込むことで、組織全体の生産性が年単位で低下し、最悪の場合、リーダー自身が組織のボトルネックになってしまうのです。


部下の成長を阻害する「仕事の抱え込み」

リーダーが仕事を抱え込むことは、部下の成長を妨げる行為でもあります。これは「部下に筋力をつけてほしいのに、リーダーが代わりに腹筋運動をしてしまう」ようなもの。リーダー自身は成長しても、部下の力は伸びません。

人は挑戦を通じて成長し、仕事の熟練度を高めていきます。そのため、リーダーは部下に意図的に挑戦の機会を与えるべきです。これこそがリーダーの重要な役割であり、避けては通れない責務です。仕事を抱え込むリーダーは、部下の成長機会を奪うだけでなく、組織全体の成長速度を低下させ、自身も忙殺されて疲弊し、最終的には組織の士気を下げてしまいます。


解決は可能!リーダーの「仕事の抱え込み問題」

この問題を解消することは、組織の生産性を劇的に改善するカギです。リーダーが自らの抱え込みを手放し、部下に仕事を委ねることで、短期間で組織の活力を取り戻すことができます。

私たちが目指すのは、「社員に成長の機会を与え、組織をして成果を出す」マネジメントです。一部のリーダーや社員だけが過剰に負担を背負う組織に明るい未来はありません

リーダーの最も重要な役割の一つは、「たとえ自分がいなくなっても回る組織」を構築することです。そのためには、自分と同じレベルで判断し、組織を引っ張れる人材を育てる必要があります。そのために、リーダー自身の仕事を部下に引き継ぎ、完成度を高める支援を行うことが求められるのです。


実例:経営者の「引き継ぎ」で得られた驚くべき成果

30億円規模の企業を経営する社長が、重要顧客対応を抱え込み、仕事を手放せない状態に陥っていました。この社長は、顧客対応を引き継ぐ意義を理解しつつも、強い抵抗感を持っていました。しかし、1時間の議論の末、試験的に引き継ぎを進めることに同意していただきました。

当初、社長は「引き継ぎには2年かかる」と考えていましたが、実際に実践した結果は驚くべきものでした。わずか半年で引き継ぎが完了したのです。その後、社長は空いた時間を活用して新規事業の立ち上げに注力し、試み開始から2年半で12億円の売上を達成しました。

経営者以外のリーダーの場合、抵抗感が比較的少なく、進行も早い傾向があります。一方、仕事の渡し先の調整に時間がかかることがあり、経営者と比較するとやや時間が必要です。早い場合で3か月、遅い場合は社内リソースの問題により1年かかるケースもあります。

こうした取り組みを通じて、組織内の「仕事を抱え込む人」を減らすことが可能になります。その結果、組織の生産性は飛躍的に向上し、社員の成長スピードも著しく加速します。


解決の第一歩を踏み出すために

やり方がわからないと、人は新たな挑戦を前に立ち止まってしまいます。組織特有の問題と思われがちな課題も、多くの場合は他の組織でも同様に起こり得るものです。そして、それらの解消法はすでに確立されています。

リーダーの仕事の抱え込み問題に取り組むことは、リーダー自身の成長と組織全体の成長を同時に実現する第一歩です。この課題を解決することで、リーダーの負担は軽減され、社員の成長が加速し、組織全体の生産性が向上します。

このステップに一歩踏み出してみませんか?