コラム「組織の成長加速法」-第158回 勉強熱心の社長の落とし穴
先日中部地方のリフォーム業のM社長からご相談をいただきました。創業18年、次々とアイディアを繰り出しながら、業界を席巻してきたM社長。コロナ禍の打撃で足踏みしたのを取り返そうと、相当な気迫を感じました。
コロナ禍では、資材が入らないという大問題が発生。なので、切り替えて組織作りに取り組みをされたそうです。ビジョンの再構築と徹底のための施策、新人事評価制度の導入、組織マネジメントの仕組みの導入等々。社員の皆さんも、相当な奮闘があったようです。
M社長としては、できうる限りの施策を打ったはずでしたが、手応えがないそうで、その不安を抱えて、ご相談に来られたのです。M社長から一通り、導入した内容について確認をした後のことです。「木村先生、次は一体何を導入したらいいのでしょうか?」という質問をいただいたので私は、一言お答えしました。
「社長、小学生3年生でもわかる内容になってません。」
M社長は勉強熱心です。勉強熱心さが興じてくると、たどり着く先は大体決まっています。複雑なものに魅せられていくのです。「ロジックがしっかりしている、筋道が明確だ、何より、ここまで精緻にくみ上げられているなら、きっとうまくいくに違いない。」「ここまで、場合分けがされているなら、どんな組織にも対応できるに違いない。」
マネジメントにとって、複雑さは悪でしかありえません。複雑なものを組織に導入してうまくいった試しはありません。
もしかすると、よほど利益率が高い商売をしていて、ゆっくり時間があって、社員全員がゆったりと仕事出来ているなら、複雑なものを丁寧に説明し、時間をかけて導入することもできるのかもしれません。
私がこれまで出会って企業で、そのような組織はなかったです。その代わり、勉強熱心な社長が、M社長のように、一見すると美しい、魅力的な複雑な仕組みを導入しようとし、まったく動かない、、、と頭を抱えてしまった社長。そしてまた、ここまでやったのにダメだから、マネジメントは難しいとマネジメント自体を諦めてしまった社長。
”導入支援する側は、動かないことが分かっていただろうに、、、”とそういう話を聞くにつけ腹が立つのですが、そんなことを言っても頭を抱えている社長には、全く意味がありません。なので、その言葉は胸にしまって、更に悪化している組織の状態を、一気に切り替える方法に切り替えます。
そもそも、組織では、シンプル仕組みしか通用しない。この真理は、私が、数億円のベンチャー企業が100億を超えるまでに成長した中で、体得したことです。それ以外にも、赤字企業の立て直し、M&A企業先の立て直し、新規事業の立ち上げ等々、多くの組織改善に取り組みました。
どの場合でも、そうなのです。組織とは、イキモノ。ロジックがいくら優れていても、まったく通用しない。それが組織というものです。もちろん、ロジックは最低限必要ですが、それ以上にシンプルであることが必要です。
事細かな場合分けの対応よりも、本質を突いた鍵をぐるりと回せが、やすやすと組織は変わる。それを究極なシンプルな形に落とし込む。まさに、シンプルさの基準は、小学校3年生くらいがちょうどよいのです。
因みに弊社の仕組みは、保育園の年長さんにもわかるレベルであることが、実験の結果わかっています。(^-^) この詳しいお話は、また別の機会にお話するとしまして、本題に戻ります。
あなたは勉強熱心でしょうか?因みに、年に2回以上、セミナーに行っているとしたら、あなたは、勉強熱心に入ります(^O^)。
もし、勉強熱心だとしたら、確認してみてください。今から組織に導入しようとしているものは、鼻を垂らした、小学校3年生でも理解して、実践できる内容だろうか?と。