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代表 木村黒バック写真 コラム「組織の成長加速法」-第180回 人が辞める組織には未来はない。人が辞めない組織を意図して創る。

 

とある世界展開企業の支店長を務める30代前半の若手リーダーの面談を終えました。「木村先生、今回もやることが明確になりました!とても嬉しいです!」晴れやかな顔をされています。将来を嘱望される未来の幹部候補の一人です。

 


 

若い社員が短期間で会社を見限り転職する時代になったと言われて久しいですが、まさに今の若者、Z世代は「不安」を抱える世代だそう。ブラックな職場で辞めるのは理由が想像できるものの、ホワイトな職場で人が辞めていきます。何が彼等を退職に駆り立てるのか?

結論から言えば、彼等の抱く漠然とした不安が解消されない限り、彼等は辞めていきます。ただ、解決策はあります。そして、この解決策は、今も、昔も変わらない。

もし、ある社員が、自分の仕事に従事しながら、成長実感を持ち、自分の理想と会社の将来の姿が一致すれば人は辞めない。どちらか一方が足りないと社員は必ず辞めていく。如何でしょうか?ほぼ、当てはまりませんか?

 


 

私は、成長企業の20代半ばの若手社員と毎週話す機会があります。また、時々、ご支援先の企業に頼んで、退職希望者にもインタビューをさせてもらっています。退職する企業に不安や不満の内容を全て話す人少ないです。ところが、相手が社外の人になると、ガードがぐっと下がります。ざっと78割の人は、短時間に心を開いて、様々なことを語ってくれます。

若い社員が悩んでいること、不安に思っていることを聞くことは、組織の問題を紐解く手っ取り早い方法の一つです。なぜって、今の時代、人が辞め続けたら、会社の未来は暗澹たるものになるからです。彼等が何にひっかかっているのか?それは、組織固有の問題があることが多いのです。

 


 

昨年ご支援を始めた企業の中で、社員が100名以上の企業の場合は、全ての部門で、すぐに係長や主任の階層まで、マネジメントが浸透するわけではありません。新しいマネジメントが全階層にまで浸透するまでの間、若手社員の離職問題が続くことがあります。すると、社長や役員から、若い社員の事で、次のような話が持ち込まれてきます。
「何かしら課題を抱えているようだ。」「周囲に、辞めたいと漏らしている。」「上司が対応に困って居る」等々

そこで、私が話をします。じっくり相手の話を聞いていると、相手は途中から堰を切ったように話始めます。20分ほど経って、一通り話終わったところで、私は相手の話しを整理しながら、組織や社会の在りよう、そして、未来の話をその方と一緒に確認していきます。

ほとんどこの1回でモヤモヤは晴れ、停滞から成長モードに変わっていきます。この状況をみて、直属の上司達は、どんな魔法を使っているのだろうと訝るようです。

 


 

 ここで私は自慢をしたいわけではありません。何をすれば、このような変化を意図して創るのかをお伝えしたいのです。

私がやることはいつも同じです。相談を受ける相手に対して、成長するための条件を伝えて行きます。。大切なことは、この内容よりも、むしろその伝え方です。その方にわかりやすくするために、その方の過去に体験したことを元に話をするのです。

相手は、自分の過去の体験してきた様々な出来事の背景が、紐解かれるような印象をもつようです。

出てくる言葉は「確かにそうですね。」「確かにそうでした。」「確かに・・・」となるのです。相手の中に生み出されるものは、深い納得。深い理解。

そもそも初対面の私が、急にお説教をしたところで、相手が受け取るはずも在りません。あくまで相手の経験に対して解釈を一緒に付け加えていくのです。ただ、その解釈は私の解釈ではありません。成長する条件へと引き当てていくのです。

すると、相手は、「確かにそうですね。」となる。そして、それまで自分が事実だと思っていたことが、勘違いだったことに気づくのです。もちろん、相談者本人が、「事実が勘違いだった」という言葉を使うわけではありません。しかし、相談者本人が直面していることの解釈が変わります。深刻な問題だと思っていたことは、深刻な問題ではなくなります。むしろ、自分が成長するための糧という認識に変わります。当然、不安が解消していきます。

そうなれば、人は勝手に元気を取り戻し、前を向いて進んでいきます。8割方の場合はこのように短時間で変わります。

 


 

先ほども書いた様に、私が特別のスキルを持っているからこれが出来るわけではありません。マネジメント技術を習得する人は私がお伝えしていることと同じものを受け取ります。私はその内容を伝えているだけなのです。マネジメント技術を習得した人は、同じように、これを部下に伝えていくだけのことです。

もちろん、正しい理論を伝えるという話ではありません。それなら、本を読むのと変わりません。どれかで良い本を読んでも、それで変わる人は、100人に1人もいません。部下にどのように伝え、どのように実践してもらえるか、こちらのほうが、もっと重要な点です。

 


 

一般社員から急に役職者に抜擢されると、ある日突然部下を持ちます。その部下に対して、「どんな関わりをしたら、相手が成長実感するか?」そして、「相手が望む未来と組織の未来を重ね合わせることができるのか?」を自ら会得することなど、ほとんどの人には、至難の技。

では、大多数の新米役職者に起こることを予想してみよう。ほぼ全員が、自分なりのやり方で、部下と関わることになる。最初から成功しないとすると、その反対。失敗を繰り返す。失敗の結果が、最悪の場合は、部下の退職を引き起こす。

ここの未来予想の怖いところは、その先だ。ベテラン役職者になっても、自分なりのやり方を続ける。

社員の退職が減らない会社には、この組織全体でこのことが起こっています。だからこそ、組織を作り替える必要がある。意図をもって、社員の成長を設計し、社員の未来と組織の未来を重ね合わせるだけのこと。

まだこのことを実践したことのない人には、何か途方もないことのように感じる人もいるかもしれない。もしかすると、まだ自分には早いと感じる人がいるかもしれない。もしそうだとしたら、次のことを思い出して欲しい。

今年入社4年目の新米主任が、意図して、成長部下に成長実感させ、部下の未来と会社の未来を重ね会わせることを、新卒社員、2年目の社員、そして、先輩に当たる入社6年目の社員にも実行しています。

この新米主任は、言っていました。自分は人とのコミュニケーションが苦手です。自分は、自分に自信がありません。自分は、続けることが苦手です。自分は他人と一緒に何かを成し遂げた経験がありません。自分は社会人になるまで、目標を見据えて頑張った経験もありません。

当に、業務経験も浅い。社会人経験も浅い。対人関係の経験も浅い。というないないづくしの新米主任であっても、実行することができるし、効果も発揮するやり方があることを忘れないでいてください。