コラム「組織の成長加速法」-第1話 「仕組み」よりも大切なもの=運用力
先日ある経営者の方からご相談を受けました。「先生、今度、人事評価制度を入れようとようと思うのですよ。 どう思いますか?」と。
私は即答しました。
「是非に導入しましょうよ」。
なぜなら、そちらの会社は、新卒の採用が始まっているので、以前からお薦めしていたのです。どの会社も創業期は、即戦力以外必要ないし、教育に時間もお金もかけられません。
ですから創業からしばらくの間は、経験者ばかりで始まります。
この時期は、あとから振り返ると、特殊の時期に位置づけられるのですが、当事者はわかりません。この特殊の時期は、組織が小さいため、風通しもよく、マネジメントは、特に必要ありません。
ところが、規模の大小関係なく、新卒の採用が始まると局面が変わります。マネジメント無しで、新卒が勝手に成果を上げることは夢物語り。実際に、放っておくと、掬い上げた砂が指の間からこぼれるようにボロボロと辞めていきます。
話を元に戻します。
その社長の話が続きました。
「そうですかぁ、いや、実は、、、、、」
その続きのお話を聞いている内にお話を聞いている内に違和感を感じました。というのも、「人事評価制度」が社員の成長の最終兵器!的な論調になって いったからです。その社長がひとしきりお話された後に私は社長に質問をいたしました。
「社長、評価システムの運用で気をつける点はなんでしょうね」とお伺いしたところ やっと我に返ったご様子でした。
確かに、何かのシステムを導入することで、社員が勝手に動き始めればそれにこした事はありません。ところが、そんな都合のよい仕組みはありません。人は、ロボットではないのですから、達成感、充実感を感じなければ どんなに人参をぶら下げても、尻を蹴り上げても、動きません。
外に目を向ければ、 仕組みは申し分ないのに上手くいっていない会社は少なくありません。誤解の無いように言いますが、 私も仕組みの重要性を口にします。仕組みは大切なことに議論の余地はありません。
同時に、 仕組み以上にもっと大切なことがあるとも申します。仕組みを運用する運用力のほうがもっと大切なのです。
では、運用力とは何かということです。私は、運用力根幹は、部下を持つ上司の対話力だと考えています。上司が一定以上の対話力のを持ち合わせていないと、どんな仕組みを渡したところで、猫に小判状態になってしまうのです。
御社の経営幹部の方々には、仕組みの運用力はありますか?
組織の成長加速コンサルタント 木村英一