コラム「組織の成長加速法」-第37話 成長リーダーは、相手の注意をそこに向けさせる 衰退リーダーは、自分の感情をそこに溢れさせる
「木村先生、私には無理です!」
先日ある成長企業の幹部の方から、組織運営についての悩みごと相談を受けました。随分思い詰めていらっしゃるご様子で、開口一番出てきたのが、先ほどの言葉でした。
よくよく話しを聞いていくと、
・部下の報告を聞いているとイライラしてくる
・知人、友人から、「もっと話を聞け!」とアドバイスを受けたが上手くいかない
・自分の弱点は社員の報告を最後まで聞けないこと。
ということでした。
・部下の報告を聞いているとイライラしてくる
・知人、友人から、「もっと話を聞け!」とアドバイスを受けたが上手くいかない
・自分の弱点は社員の報告を最後まで聞けないこと。
ということでした。
この幹部の方と同じ悩みを抱えている経営者、経営幹部は、実に多いというのがこの仕事をしていていつも感じます。
面白いことに、この悩みは、起業当初は、あまり深刻な問題にはなりません。ところが、ある程度組織が大きくなってくると、組織の発展、組織の成長の一番の障害になってしまうのです。
先日、コンサルティングを終えた幹部Kさんも、まさに同じ状況でした。
Kさん曰く、
・採用を強化しても、人が1年-3年で次々と辞めていく
・一人当たりの採用コストが急速に上がっている中で、参加の事業部収益を圧迫している
・事業拡大のチャンスなのに、入社年次が1年未満の人ばかりでとても任せられる状況ではなく、機会損失が生じている
というトリプルパンチ。完全にお手上げ状態というのがお会いした当初の状況。
・採用を強化しても、人が1年-3年で次々と辞めていく
・一人当たりの採用コストが急速に上がっている中で、参加の事業部収益を圧迫している
・事業拡大のチャンスなのに、入社年次が1年未満の人ばかりでとても任せられる状況ではなく、機会損失が生じている
というトリプルパンチ。完全にお手上げ状態というのがお会いした当初の状況。
まずは、現状を確認しましょう、ということで、ある時、Kさんと社員とのミーティングに同席させてもらいました。
いつもやっている業務報告のミーティング。部下から報告が始まると聞いているKさんの顔は、ドンドン強ばっていきました。誰の目にも、怒りをこみ上げているのが分かりました。
せわしなく、資料をめくっては、違う、違うと、首を小刻みに傾げては、資料に赤ペンでマークを入れていました。私のいる手前、いつもより我慢をしていたようなのですが、限界が来たらしく、
「それは違うだろ!」
と、部下の発言を遮りました。その後は、
「前回の打ち合わせで方針が決まっただろ!なぜ、それをやらない!」
「なぜ、また勝手に自分で判断して別のことをやるんだ!」
「なぜ、いつもいつも、決まったことからズレたことをやるんだ!」
・・・・
「なぜ、また勝手に自分で判断して別のことをやるんだ!」
「なぜ、いつもいつも、決まったことからズレたことをやるんだ!」
・・・・
という具合にヒートアップ。
この打ち合わせの内容に関して、Kさんと振り返りを行いました。振り返りの面談が始まると、Kさんは、バツが悪そうに、同じ失敗を繰り返したと反省の弁がありました。その一方で、Kさんにも言い分がありました。
Kさん曰く、
・先ほどの部下は、何度言っても同じことを繰り返し、いつも同じ指摘を受けている。
・一向に、改善が見られず。ほとほと困っている状況。
・見過ごすワケにはいかず、注意している
・冷静にと思っているのだけれど、いつも途中から怒りをコントロールできなくなる
と。
・先ほどの部下は、何度言っても同じことを繰り返し、いつも同じ指摘を受けている。
・一向に、改善が見られず。ほとほと困っている状況。
・見過ごすワケにはいかず、注意している
・冷静にと思っているのだけれど、いつも途中から怒りをコントロールできなくなる
と。
このように、何度注意しても態度が改まらない人の場合、上司の注意の仕方を変えなければ、先に進みません。同じ注意の仕方を繰り返したのでは、態度が変わるまでに途方もない時間が掛かってしまうのです。
人は誰しも自分の興味のある分野のことは自分で時間をつくり、自分でドンドン取り組みます。ところが、興味のない分野には、周りがいくら騒いだところで、ほとんど動かないものなのです。
何度注意しても態度が改まらない社員、にこの原則を当てはめてみると、多くの場合は、本人は悪気なく、ただ興味がないだけ、ということが分かってきます。
この問題の背景にある「からくり」を知らないと、私がお会いした当初のKさんのように、言うことを聞かない部下に対して毎回、怒りを爆発させ、怒鳴り、イライラしている状態が続いてしまうのです。
幹部社員というのは、他の人より、仕事ができるから、そのポジションにつくわけですが、
それ故に、Kさんのような問題を抱えることになります。実際Kさんも、非常に有能な営業マンで、創業以来、会社の売上げを支えてきた功労者でした。
それ故に、Kさんのような問題を抱えることになります。実際Kさんも、非常に有能な営業マンで、創業以来、会社の売上げを支えてきた功労者でした。
しかも、大変部下指導にも熱心でした。他の役員からKさんに対する見方は、とても面倒見がいいという点で一致していました。Kさんと相性がいい部下は、短期間に会社に貢献する優秀な営業マンとなり、Kさんと同等の成績を叩き出すようになっていたのですが、問題は、相性が合う人が少ないことでした。
計算してみたら、なんと30人に一人いるかいないかという確率だということが分かりました。
部下の成長を支援し、組織の成果を持続して上げられる幹部には一つの特徴があります。それは、社員の意識をある方向に引っ張ることが出来ることです。例えば、社員の一人が最初は興味を感じない業務があるとしましょう。これに対して、上司が、その社員に働きかけて興味を向けさせることができる能力を持っているのです。
何度も同じことを言っても、言うことを聞かないはずの社員に変化が生まれるのです。残念ながら、私が同席した時に、Kさんが怒鳴っていた社員は、トレーニングの途中に辞めてしまいました。
トレーニングの終盤から、Kさんが、打ち合わせで怒鳴ることはほとんど無くなりました。
おまけに、入社3ヶ月未満の新しい社員2人が、2年目の社員の成果を優に上回る成果を出すという事業部始まって以来のことが起きたのです。
Kさんの事例は、幹部には、部下の意識をある点に引っ張るという能力が必須であることを明示していると私は考えています。
さて、御社の幹部は如何でしょうか?
御社の幹部は、社員の行動変化を着実に生み出しているでしょうか?
それとも、何度も同じことを同じように伝えて、変化を生み出せないでいるでしょうか?
御社の幹部は、社員の行動変化を着実に生み出しているでしょうか?
それとも、何度も同じことを同じように伝えて、変化を生み出せないでいるでしょうか?