コラム「組織の成長加速法」-第33話 衰退組織は、現状の重力に支配される 成長組織は、未来からの引力を強化する
先日70才を優に超えるベテラン経営者の方から相談を受ける機会がありました。
設立以来、30期以上、一度も赤字になったことはないと胸を張る一方で、深刻な悩みをお持ちでした。
(本日も、少々設定を少し変えてご紹介して参ります。)
その経営者の方は、売上の悩みの一つは、売上げの低迷でした。聞いて驚いたのですが、その低迷の状況は、過去かれこれ8-9年続いているとのこと。それもあって、社長自身、引退したくてもできなくて困っているとのことでした。
そこで、どこに向かって改善していくかを検討すべきと思いまして、「3年後にどのくらいの売上げであったら、納得のいく売上げでしょうか?」とお尋ねしたところ、、、
具体的に考えたことがないとのお返事だったのです。
このお返事を聞いて、以前10年間赤字だった企業に遭遇したことを思い出しました。
赤字でいることって、さぞつらいことだろうと、黒字企業の人は思います。もちろん、そのまま進めば、倒産に向けて一直線なのですから、嬉しいはずも、楽しいはずもありません。
ところが、その企業の従業員はまるで苦しんではいませんでした。言葉通り、赤字体質というヤツで、もうそれが普通になっている状態。だから、苦しくはない。
不思議なもので、赤字の状態が長く続くと、赤字の状態でも何も危機意識を感じることがないのです。こういう風になると、「口では赤字は嫌だ」「赤字は困る」と言いながらも、先ほどの事例のように、「じゃ、いつまでにどうしたい?」と聞かれても、即答できない事態に陥ります。
これって本当に恐ろしい話です。先ほど事例に取り上げた会社にも同じような印象を持ちました。
現状に慣れてしまう、この現象を、「現状の重力に支配される」状態と呼んでいます。周りがどんなに、さぞ不愉快だろうと感じても、現状の重力に支配されてしまい、現状を変革しようというところへエネルギーが向かなくなってしまいます。
誰もが分かる通りで、その先には死があるのみ。ですが、そう頭で理解しても、現状の重力に支配されると、行動に結びつかなくなってしまいます。次第に、この状態は変えがたいものとして、聖域扱いする始末です。
端的にいえば、完全にマネジメントの失敗です。
こうなってしまうと、単に制度の改訂や、仕組みの改善という現状の延長線上にある改革では短期的な成果につながりにくくなります。
そうすると、組織再生のためには荒療治が必要となるのですが、時間も労力も余計に掛かってしまうので、ここまで悪化させてはなりません。
一方、成長組織は違います。もちろん、現状の重力は、成長企業に対しても働きます。ところが、成長組織は、この重力に支配されません。
なぜかというと、成長企業は、別の力を利用して、現状の重力に支配されないようにしているからです。別の力とは、未来からの引力。未来からの引力は、企業理念、経営方針、企業価値といったもので培われます。
ですからこれは、ゼロから作り上げるものです。そして、一度作ったら終わりではありません。元々ゼロのなので、放置するとゼロに戻ってしまうのです。
持続して成長する組織は、この「未来からの引力」を強化する作業を意図して行っています。
だから、「未来からの引力」で、従業員をひっぱり続けることができるのです。
だから、「未来からの引力」で、従業員をひっぱり続けることができるのです。
さて、御社の場合は如何でしょうか?
現状の重力に支配されている状態でしょうか?
それとも、日頃から強化している、未来からの引力によって引き上げられているでしょうか?
それとも、日頃から強化している、未来からの引力によって引き上げられているでしょうか?