コラム「組織の成長加速法」-第32話 衰退組織は、誰が正しいかで紛糾する 成長組織は、ただ顧客の基準に合わせる
ある企業の幹部のKさんと面談をしていましたら、
「木村さんだからいいますけど、Sさんの言ってることって全くズレてると思います。」と話が始まりました。(本日も、設定を変えて、コンサルティングの事例をお伝えします)
翌年の事業計画を作るにあたって、取り纏め役であるKさんが、Sさんの作ってきた計画内容を見て、数字の根拠が曖昧だと突き返したことがきっかけでKさんとSさんの対立が表面化しました。
KさんとSさんは、創業以来、社長と会社を支えてきた重要人物。
KさんとSさんの上司である社長に話を聞きますと、社長は、未経験だったKさんとSさんをほぼ同時期に採用し、互いに競わせてきた、とのこと。
昨今は二人から相手に対するクレームが増えてきて対応に困っているとのことでした。
Kさん、Sさんにそれぞれ確認すると、最近はお互いに直接話す機会は減りつつあり、直接口論に発展することはないとのこと。
一方、両方の部門が関わるプロジェクトの進行を巡ってその方針や、やり方を巡って、お互いの部下を巻き込み、対立することが時々あるのだとか。
まぁ、単なる部門対立なら、放っておくというのも、一つなのですが、業績が低迷しているSさんの事業部から毎月のように退職者がでるようになっていました。
早めに解決するべきだとの判断から、問題解決へ着手することになったのです。
このように、社内で部門長の好き嫌い、派閥争い、政治的な動き等々で、方針や、進め方の対立というのは、その大小は別として、多くの会社に起こります。
対立してる両者には、それぞれ言い分があり、にらみ合いを続けるわけですが、その間、競合会社も一緒ににらみ合ってくれるワケではありません。
対立している両者の頭には、目の前の相手しか目に入っていません。
競合のことはすっかり頭から抜けているんです。
例えるなら、
熾烈なヨットレースが繰り広げられる中、先頭集団の一隻のヨットがもたつき始めます。
船内で、漕ぎ手同士が、声のかけ方を巡って言い争いを始めるのです。
熾烈な競争の中では、ほんのちょっとのミスが勝負を分けます。
その一隻は、先頭集団から脱落するだけではなく、後続のヨットからも、
あっという間に競合に出し抜かれてしまいます。。。
業績が停滞し、衰退する組織には、この組織内の対立が原因の一つである場合があります。
組織内の対立する原因は、議論の収斂させるための絶対基準を、対立を引き起こす人達が、 勘違いしていることが原因でおこります。
反目し始めると、意地でも相手の言い分を受け入れるものか!と啖呵を切るわけですが、そもそも、どちらも間違っているわけです。
組織の成り立ちを考えると、絶対基準は明かです。
組織は、組織の存在そのものによって成立するものではありません。
組織は、あくまで顧客の評価によってのみ成立しています。これが道理です。
社内で意見が対立した時の唯一絶対の判断基準は、「顧客の基準に合わせる」です。基準は、顧客の基準。これ以上でも、これ以下でもダメなのです。
成長組織は、このことをよく知っています。
衰退組織で騒がれているような、
・そもそも何が正しい基準か?
・誰の意見がより正しいのか?
・過去は誰が正しかったか?
・現在力を持っている人は誰か?
などという、くだらないことで、時間を消費することはありません。
顧客の基準がわからなければ、ただ、顧客の声を聞きに行けばよいだけです。
実際に、私の支援先でも、以前、こんなことがありました。
新規事業の案を巡って、延々と社内で議論されていたのです。
MBA出身者がいて、様々な戦略マップを使って、発表があったのですが、大切なことが抜けていました。
MBA出身者は、その戦略を立案するにあたって、すべて、社内の人からの聞き込みをベースに作ったものだったのです。そこに、顧客の生の声が反映されてませんでした。
そこで、私の方から幹部の方々に、次のことを2週間で調査することを提案しました。
調査することは、 現サービスの提供を提案する時、または、お客様がサービスを利用する時に、
1.質問されることは何か?
2.お客様から「こんなことはできないの?」と頼まれることは何か?
の2つでした。
結果、2週間で、60ほどの顧客の声が上がってきました。
それを整理したデータを元に、会議を再度開催してもらいました。
その結果、数ヶ月要していた会議は、たった2時間で終了したのです。
そして、3ヶ月後には、新規サービスが2つスタートしました。
さて、御社の場合は如何でしょうか?
社内の議論の際に、その議論の基準はズレていませんか?
顧客の基準にあっていますでしょうか?