コラム「組織の成長加速法」-第30話 衰退組織には、決め打ちがある 成長組織には、選択肢がある
幹部と社員のミーティングを想像してください。
社員から幹部に相談がありました。
「このような状況だと、いつものプランAだけでいいのか、不安なんです
こういう場合はどうしたらいいですか?」
あなたの会社の幹部なら、なんて答えますか?
私の調査によると、90%の幹部は、「これはさ、この会長には代表権ないから、、、」
という具合に、現状に関する見解を述べた上で、ドンドン話しが続いていきます。
続いて出てくるのは、
自分が遭遇した困った事例
過去に自分が先輩から教えてもらって上手くいったエピソード
諸々話した後、
「(中略)だから、プランAにオプションとして、Dも併用してあげたらいいよ。」
という具体的な対策がててきたところで終了です。
因みに申しあげますと、私自身も、この幹部のようにずっとやってきました。
相手がグーの根もでないほどに、論理的に追い込んだり、如何にこっちが正しいことを教えてあげるか、この一点が勝負。
自分に余裕があると、考えられる障害や、注意点を事細かに教えてあげるのが良いこと。
そう心底、信じてやっていました。
組織を率いて経験年数の浅い人は
・その方が早いから。
・その方が効率的だから。
と答えるかもしれません。
ところが、いくつかの組織を率いた幹部の方ならもう分かっている思います。
これは、中長期で考えたら、ちっとも効率的ではないことが。
おそらく、
・同じことを何度も聞いてくる人がいる
・社員から答えを求めることはあるが、社員からの提案はない
・自分が居なくなったらきっと成績はさがる
ということを経験済みのはず。
何が原因でそうなっているか分からないうちは、
・出来ない社員が自分のチームに紛れ混み運が悪い
・なんでも、あいつは人や環境のせいにする
・いいわけばかりで、ちっともやらない
と社員の愚痴を口をします。
私も以前はそうでしたから、よく分かります。その気持ち。
その原因が相手にあると思えば、そうした愚痴が出てくるのも当然。
ところが、原因は、全部、幹部自身にあるのです。
ついつい、全部自分で説明する
ついつい、全部自分で答えを言う
ついつい、全部自分で解決策を提示する
ついつい、全部自分で先回りして障害を潰す
ついつい、全部自分で仮説から解決策までこねくり回す
この「ついつい」は、幹部が自分の効率性を重視した結果おこること。
でも、これをやってると、社員が考える余地を奪いつづることになります。
社員の考える機会を奪い続けると、社員は考えなくなります。
ただ、聞いた通りただ実行するだけです。
自分で考えないので、応用が利きません。
だから、少しでも違う展開に遭遇すると、対処不能に陥ります。
すると、
幹部にまた質問してきます。
幹部にしてみると全く同じ質問を繰り返されているように思うのです。
「え?それ前回も教えたよね」と。
これは全て、
幹部が自分の効率性を重視した結果起こることです。
社員が考えない。社員が提案しない。社員が動かない。
こういう組織に共通することがあります。
それは、
その組織の幹部が「考える」ことを一手に担っています。
解決策は、いつも幹部が出しています。
幹部にしてみれば、「背中を見せてる」ってこと
なのですが、そのやり方は社員にとっては難易度が高すぎます。
もし、
それが有効であったのなら、
社員が考えない。社員が提案しない。社員が動かない。
は、起こってないのですから。
成長組織の幹部は、どうしているのかというと、
目の前の効率性の罠にはまらないように気をつけています(^^)
それで社員が育たないことは、組織として経験済み。
なので、それとは違うアプローチに切り替えています。
それは、幹部が一手に考えることを放棄。
衰退組織の幹部が解決策を考えるときは、ベストアンサーが絞り込まれます。
ほぼ決め打ちです。
成長組織の幹部も、最終的な打ち手は絞り込みますが、その前に一手間いれるのです。
その一手間とは、部下に解決策を考えさせること。
しかも、一つではなく、かならず複数挙げてもらいます。
複数挙げようとすると、必ず社員は考えるようになります。
社員が考えない。社員が提案しない。社員が動かない。
の三拍子を変えていくための第一歩です。
いくつもの成長組織では、既に実証済みの方法です。
もっと知りたいという方は、教材(準備中)や、コンサルティングで
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さて、あなたの会社の幹部は如何でしょうか?
部下の疑問に決め打ちの答えで対応していますか?
それとも、
部下に複数の選択肢をもつことを促していますか?