コラム「組織の成長加速法」-第28話 衰退組織は、常に同じ問題に悩む 成長組織は、常に新しい問題に挑む
「問題って無くならないよ。ステージが変わればまた違う問題が出てくる。」
文字通り裸一貫から、グループ総売上300億円の企業グループの経営者とお話していた時の言葉です。
今回も、場面、設定を変えてご紹介して参ります、少しでも、経営者の皆様のお役に立てれば幸いです。
企業の成長ステージをざっくり見てみますと、
・起業当初は、試行錯誤の連続。
・試行錯誤する中で、当初とは少し違う、自らの強みを見つけ、ビジネスモデルを創るのが次のステージ。当初のビジネスモデルありきでやっても、まぁ、当初から上手くいくことは少ない。
・ある程度ビジネスモデルが見えてきたら、そのモデルの標準化を検証。 めでたく標準化ができて、利益が確保できるなら、売上げ拡大期。
・売上げが拡大すると、次は組織の適正化ステージ。
こんな流れでしょうか?
確かにステージが違うと、立ちはだかる問題が変化し、取り組むべき課題は変わってきます。
話は変わりますが、私が初めてお目に掛かる経営者とお話をするとき、現時点の課題もお伺いし、課題が明確化した後に、いつも聞く質問があります。
「その問題はどのくらい続いていますか?」
です。
経営者が何を課題として認識しているかによって、この答えの質問内容も異なるのですが、この質問を繰り返すうちに面白いことに気がつきました。
それは、経営者が「数年間課題である」と答える内容は、、経営者が苦手意識を持っている内容が多いこと。
経営者が抱える課題は、ほぼ間違いなく組織を巻き込みます。
例えば、以前ご相談を承った経営者の方の場合、よくよく聞くと、商品サービスにはあまり興味がないという創業者の方に出会ったことがあります。
もちろん、表向きは、社会のためである。顧客のためである。社員のためでもある。という説明がなされています。また社員の方々もその言葉を信じています。ところが、本音はちょっと違ったりするわけです。
ついでに、マネジメントにも興味がない。トントン拍子に来てしまったのだけれど、あるときから、組織の課題を放置できないほど大きくなってきてしまった、と。
この経営者にも先ほどの質問をさせていただきました。その経営者は、「組織の問題は目をつぶってきました。課題認識は、4-5年」と答えました。
確かに、ここ3年ほど前から成長率が徐々に落ちてきていたのです。社長によれば成長率鈍化の一番の理由は、将来を託せるリーダーが次々と辞めてしまったことだと。
そして、それは、組織の問題を認識しながら、放置した結果だとのお話でした。まさに、経営者の苦手意識が会社の発展に大きな影響を与えつつあった事例です。
もちろん、経営者だって、人の子です。好き嫌いが自らの経営に影響するのは当たり前です。
とはいえ、当時に、経営者は多くの人を巻き込む立場でもあります。
では、自分の苦手意識を上手く克服され、新しい課題へ果敢にチャレンジしている経営者の方はどのような取り組みをしているかというと、、、
これを考えていたら、面白い共通点に気がつきました。
ぱっと頭に浮かんだ4-5名の苦手克服上手の共通点2つ。
一つは、3名の方が、引退時期を決めています。
引退時期を決めると、課題解決の優先順位が自動的に決まってきます。好き嫌いではなく、解決するべき課題の重要順で決まるのです。ですから、苦手分野が残りません。
もう一つの共通点。きわめて一般的ですが、「他人の力」を上手く使っています。
外部、部下、自分以外の人の協力を取り付けて解決しています。
やり方としては、制度、仕組みの構築。これが端から見てると面白いのですよ。当初こそ、あまり興味がない。それほど重要ではない。という態度です。ところが、進むにつれ対応が変化していきます。
多くの経営者は、制度、仕組みの構築に熱中していきます。創業社長は、アイディアマンですから、どんなことであれ、刺激に反応してしまう性分なのでしょうね。
結局、手をつけるか、つけないか、ただそれだけです。
私が一緒に取り組んだ事例もあります。
創業経営者は、自分の得意とする領域が必ずあります。それに比べるとマネジメントの領域はやや不得手という経営者の方々が多い。
端的にいえば、マネジメントに関しては食わず嫌い。だから、あまり勉強の対象にもならない。
そんな方々には、いくつかの型をお伝えします。これの型をご理解いただくと、その後は早い。型と技術を本当にうまいこと使っていただいてます。
分からない領域、苦手意識のある領域は、何をどう取り組めばいいかわからないのが常。
これも、手をつけたもの勝ちです。
さて、
御社の幹部は新しい問題に挑んでいますか?
それとも、昨年と同じ問題に取り組んでいますか?